子どもの引渡しを請求する方法の一つとして、人身保護法に基づく請求も考えられます。
人身保護法では、「法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。」(2条1項)、 「何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。」(2条2項)と規定されています。
この条文の規定からは、夫婦間での子どもの引渡し請求に関しても、人身保護請求が可能だと解釈できます。しかし、最高裁平成5年10月19日判決は、夫婦間における子どもの引渡し請求において、人身保護請求手続きによることができるのは、限定される旨判断しています。
したがって、子どもの引渡しを求める手続きとしては、人身保護請求手続きではなく、家庭裁判所による審判(審判前の保全処分)によるのが通常です。