退職金離婚時に既に支払われている退職金については、基本的に財産分与の対象となります。もっとも、分与の対象とある退職金は、婚姻期間中に相応する部分に限られますので、全額が対象となる訳ではありません。
将来支給される退職金についても、基本的には財産分与の対象となります。分与の対象が婚姻期間中に相応する部分に限られることも、退職金が既に支払われている場合と同様です。もっとも、退職金が将来支給されるような場合、その履行確保の方法には注意を要します。
将来支給される予定の退職金を、離婚時に請求する方法、将来の支払い時に支払いを求める方法等がありますが、後者の場合、相手方が何時会社を退職するか、離婚後も監視をする必要があります(退職した事実を、相手方が連絡してくれるとは限りません。)。
債務財産分与を考える場合、通常プラスの財産を分与することを前提に、分与額、分与の方法を取り決めることになります。しかし、夫婦共同財産の中に、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金等)も含まれているような場合は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、財産分与を行うことになります。
プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合、もしくはマイナスの財産しかない場合にも、清算的財産分与の考え方からすれば、財産分与を行うことが原則であるということになります。
しかし、夫婦間で債務について分与を行ったとしても、当事者ではない債権者(銀行等)との関係では財産分与での合意を主張することはできません。債権者に別途同意を求めたとしても、債務の分割に同意することは考えがたいと言えます。そのため、実際上、債務のみを分与の対象とすることは困難であると考えられます。