慰謝料額については、養育費の算定とは異なり、その明確な基準がある訳ではありません。とは言っても、慰謝料額を決定するにあたっては、重要な要素を検討する必要があります。その際、検討すべき要素としては、
1.相手方の有責性(離婚にあたっての責任の大きさ)
2.婚姻期間の長短
3.相手方の資力
が重要ポイントになってきます。
当然、離婚に至った相手方の責任が大きく、婚姻期間が長く、相手方に資力があるようなケースの場合、慰謝料金額は高くなる傾向にあります。
それでも、慰謝料金額を定型的に判断することは困難で、具体的な事実関係を検討して、個別具体的に判断しているというのが実務の運用だと思います。
相談者の方の中には、高額な慰謝料請求を考えている方もいらっしゃいますが、実際には、300万円以内の金額で決着するのが一般です。300万円を超える慰謝料が認容されるケースは実際上少なく、仮に認められたとしても、それは相当高額な部類に入ります。
相手方と任意に合意して、高額な慰謝料の支払いを約束するケースもありますが、裁判相場を大幅に超える額での合意は、実際上難しいと思います。芸能人の離婚等で、数千万円単位の慰謝料を支払うというニュースが流れることがありますが、それはあくまで特殊なケースだと認識しておく必要があります。