「熟年離婚」という法律用語はないのですが、世間一般では、認知された用語ですので、便宜上「熟年離婚」という用語を使わせていただきます。
法律上の用語ではないため、どのようなケースが熟年離婚なのか明確な区別はできませんが、夫婦の一方が50代以上で、子供も成人していて手がかからなくなっているような夫婦間の離婚であれば、「熟年離婚」と表現してもよいと思います。夫が定年退職している夫婦であれば、明らかに熟年離婚だと言えるでしょう。
熟年離婚の特徴としては、第一に、長年連れ添ってきた夫婦であるだけに、離婚原因がはっきりしないケースが多いということです。もちろん、長年に渡って浮気やDVに悩まされていたものの、子供のために離婚はしないよう耐えてきたというケースもないではありません。
しかし、現在は、例え子供がいた場合でも、離婚を思いとどまるのではなく、早期に離婚に向けて行動を起こす方が圧倒的に多いです。熟年離婚の特徴は、夫と直ぐに離婚するほどの不満はなかったものの、小さな不満が積もり積もって、夫の定年退職後に妻から離婚を切り出されるというケースが多いのです。
熟年離婚の第二の特徴としては、若い夫婦間での離婚と異なり、相当な金額の夫婦共有財産が形成されていることが多いということです。典型的には、退職金の支払いを受けてからの離婚の場合、最大で退職金の半分位は、財産分与として支払いを求められることになります。その他にも、不動産や預貯金等多額の資産を保有している夫婦間での離婚は、財産分与額が多額になるケースが多くなっております。
第三に、上記に関連して、婚姻期間が長い分だけ年金分割によって得られるメリットが、妻にとって大きくなります。逆に言うと、夫は財産分与だけではなく、年金分割によっても多くのものを失うことになります。